| 法師温泉へのアクセス |
| 関越道月夜野インターより国道17号を三国峠へ、猿ケ京温泉を過ぎてから法師温泉方面へ左折。 |
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【法師温泉 長寿館】レポート |
「草まくら手枕に似じ借らざらん 山のいでゆの丸太のまくら」与謝野晶子が法師温泉に来遊中、詠んだ歌である。また、川端康成、内村直也などの歌人も訪れ、歌を残していった。三国街道沿いに流れる法師川上流にあるこの法師温泉は、昔ながらの佇まいを今に残す、それ程までに歌人の心を捉えた温泉宿である。
上杉謙信が補修拡張したことにより、三国峠はかつて大名行列も行き交い賑やかに繁栄を誇ったという。しかし、鉄道の開通、国道17号線の開通により、昔の宿場も現在では通り過ぎるだけの忘れられた街に変わり、すっかり寂れた雰囲気となってしまった。ただ、かつての三国街道に思いをはせ、旧街道を歩く人も多いらしい。そんな人にとっても、昔の建物がそのまま残るこの法師温泉は格好の宿であろう。
4月のこの時、山はまだ新緑には程遠かったが、あちらこちらにぽつぽつと桜が咲き誇り、例年より早い春を感じさせていた。広い敷地のためか山深さは感じないが、古びた建物は昔栄えた温泉宿を感じさせる貫録充分であった。玄関で暖かく迎えられ、部屋まで案内される。畳の部屋は古びてはいるが、外光も良く取り入れられ明るく、田舎の親戚の家にでも来たような落ち着いたものである。寒さを心配していたのだが、暖房も良く効いており、暑いくらいだったので暖房を止めたほどだ。
さて、肝心の風呂であるが、混んでいるだろうと予想されたので、とりあえずのんびりすることにして、夜中の時間帯を狙った。入浴はチェックアウト時間帯の清掃時間を除いて24時間可能である。夜中には館内は静まり返っているが、各部屋の明かりはちらほらとまだ点いている。しかし大浴場は狙い通り誰もいなかった。
法師温泉では本来、更衣は浴室内でされていたものらしいが、今では男女別の脱衣所が新設されている。これにより女性にとって着替え時の心配はなくなった。脱衣を済ませがらりと引き戸を開けるとそこにあるのは、JRフルムーンのポスターで馴染みの大きな浴槽だ。四つの湯船が四角く並び、各湯船には丸太の木枕が一本ずつ掛けられている。脱衣所に近い手前のふたつの湯船は少しぬるめ、奥のふたつは少し熱めである。木枕は打ち付けられているものと思い、うっかり寄り掛かってしまったら、がたんとずれて焦った。気をつけて欲しい。内湯といえど広々しているので、比較的女性にも抵抗は少ないと思ったが、湯船が四つにわかれているため各湯船はさほど広くない。混雑時は避けたほうがいいだろう。幸いこの時は誰も来ないのをいいことに、それから1時間近くゆっくり身体を伸ばして湯を楽しむことが出来た。
翌日、朝食を済ませてから露天風呂に行ってみた。こちらは残念ながら男女入れ替え制で混浴ではない。新しく豪華な内湯のガラスの外に露天風呂はある。内湯も広々していて清潔で明るく、とてもいい感じだ。がしかし、一人で入るのはやはり味気ない。男女入れ替えなら、例えば午前中のこの時間くらいは混浴時間を設けてもいいのではないかと思った。
中居さんに聞いたのだが、四万温泉から赤沢林道を法師温泉へと歩いて来る人もいるらしい。約6時間の健脚向きコースであるが、山の自然を楽しみながらのそんな温泉巡りも楽しいかもしれない。昭和六年九月、与謝野晶子が三国峠に登り歌を詠んだ。
三国越え越後の秋に近づきて 霧われを吹き風山を吹く
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